TEDxRyukyuのオーガナイザーをしています

オーガナイザーの私自身の記録をblogにしておきます。時系列なので、一番最初が一番下にあります。そちらから読むとわかりやすいでしょう。

2013年11月19日火曜日

TEDxRyukyu 2013: 午前の部ハイライト: Highlight of the Morning session.

午前中のプログラムの流れを書いて行きます。

まず、折り紙と五弦チェロのコラボのTEDTalkビデオで開始しました。
このビデオは2010年のイベントでも最初に使用しました。長さが3分程度でコンパクトであり、その内容が、観客をさっ、とTED/TEDxの雰囲気に引き込んでくれるものなので、重宝?して使っています。

We started our program with TEDTalk video of the collaboration of the electric five strings cello and blind folding of Origami.
We also used this video in our 2010 event. It is short (3 min), and the contents of the video quickly attracts audience into TED like atomosphere.

 http://images.ted.com/images/ted/48702_389x292.jpg

二人目は映画「カラカラ」のプロデューサー、「アンを探して」の映画監督・宮平貴子さんのプレゼンテーション。
彼女は、大学時代に人生の行動予定を大学ノートに書こうとして、その形で表現される自分自身の人生が恐ろしく短いことに気がついた。そこからたくさんのノートで表されるような人生を送ると決めたこと。そしてたどり着いた映画制作が、まさしく大量のノートを埋めて行くような、濃密な人生体験と結びついていることを語ります。

Takako Miyahira/Kukuruvision: She is a producer of the movie "Karakara" and the director of the movie "Lookin for Anne".
She started with an episode of a notebook she wrote in her college age. She maked each leaf of the note for her one year of life and tried to fill it with what to do in that year. This attempt ended with astonishment that she can't even fill a single notebook with her whole life plan. Then she decided that she will lots of notebooks with her life story. And she found that shooting a movie is something like several years of life experience and she talks about it.

photo by Keita Teruya

次はRichard Grahamさんの英語教育についてのプレゼンテーション。彼は、日本の英語教育が「間違わないように」という呪縛のせいで、効果的に機能しないことを指摘します。人はやりたいことを間違いを恐れずに実行し、その間違いを修正することで進歩して行く。日本では、なぜ英語教育でそれが行われないのか(実はそれ以外の教科でもそうである)、そこから脱却するにはどうしたらいいのかを、彼自身が実践する英語教育のスタイルを通じて語ります。

Richard Graham/Genki English: He is an English teacher who has doubt about the way Japanese English teachers do their job. Education in Japan teaches how "not to fail" and it hinders "trial and error" experience which nourishes motivation and improvement.
He talks how to get out of it with Genki attitude, along with his teaching method with Genkiness.

photo by Keita Teruya

その次は少し変わったプレゼンテーション。アメリカからスカイプを使ってオンラインで行いました。
プレゼンターは荒木大河君。荒木君はInternational Biology Olympiad 2012 シルバーメダル受賞者です。
彼は、その受賞を機に、たくさんの外国人の友人ができた。さらにアメリカの大学で勉強したくなり、自分で大学を探して受験し、入学してしまった。
その彼が、彼の地元宮崎での中学・高校時代からの研究テーマ、粘菌と、そこから発想した彼自身のイノベーションの解釈を語ります。
彼は私の知人の息子さんで、以前にTEDxへの出演を打診していましたが、時期的に彼がアメリカに渡ってからになってしまった。そこで彼と相談し、何度もリハーサルをして、スカイプを使ったオンラインのプレゼンテーションをしてもらいました。ステージに彼をスカイプ越しに写し出し、彼の用意したスライドをメインスクリーンに写し出してプレゼンテーションしました。
当日はライブストリーミングもしていましたが、お母様が、会場のライブ感の中で彼のプレゼンテーションを聴きたいとのことで、はるばる宮崎から沖縄の会場に来ておられました。

Taiga Araki: He made his presentation live and online from US. He is a silver medalist of the International Biology Olympiad 2012. In his time at the Olympiad he made lots of firends from abroad and he decided to go to the university in the US and he made it.
He talks about his life story and the study about Slime Mold and his interpretation of the word "innovation".

photo by Keita Teruya

4番目のライブプレゼンターは高井研さん。
高井さんはJAMSTECの職員で、地球深部探査船「ちきゅう」のプログラム・ディレクターです。
「ちきゅう」は多数のアジマススラスターとGPSを用いて、海洋上で誤差10メートル程度の範囲で「ちきゅう」自身が静止することができます。そこから深部海底へドリルを降ろして掘削することができ、海面下からの掘削深度2466mという海洋科学掘削の世界深度記録を持っています。高井さんはまた「しんかい6500」での深海への潜水もなさっています。
高井さんは、海底のいわゆるハイドロサーマルベント、地底のマグマ層からの高温の熱水吹き出し孔での研究を進めており、その周辺での生物学、ベントからのレアメタルの回収、その熱水での発電の可能性などについて、沖縄近海のベントを例に語りました。彼はそれを、マンガ「ワンピース」の主人公ルフィが海賊であると同時に探検家であることで、 自分自身になぞらえて語ります。

Ken Takai: He is the program drector of the deep earth exploration ship "Chikyu (the Earth) at JAMSTEC. With the help of azymuth thrusters and GPS, Chikyu can locate itself within meters of drift on the ocean, which enables her to drill deep sea bed into several kilometers. He explores the hydrothermal vents with lots of fruitful outcomes, and talks about it with analogy to Japanese manga "One Piece", in which main character the pirate Lufy explores the unknown world.

photo by Keita Teruya

次はTEDTalkビデオで、ロバート・ラングの折り紙の話を上映しました。
全ての折り紙は非常にシンプルな4つの数学的原理で記述できる。原理がシンプルなので、コンピュータ上で記述して計算し、どんな形態でもその展開図を作ることができる。そこから素晴らしくアーティスティックな折り紙が生まれると共に、その折り方のパターンが、さまざまな科学的応用に展開できることを話しました。

TEDTalk video: Robert Lang: It's about Origami folding. It's four simple mathematical principles enable the computer to generate whatever pattaer needed, resulting in amazing artistic origami, as well as the use of it in the area of science such as medicine and astronomy.

http://www.ted.com/talks/robert_lang_folds_way_new_origami.html

午前の最後のプログラムは真境名由佳子、城間あずき、大城知佐の3人による、沖縄の紅型の染織りの説明と、その紅型を纏った真踊流(しんようりゅう)二代目、真境名由佳子が踊る、琉球古典舞踊のプレゼンテーションでした。

The last program in the morning session was a presentation of Okinawan fabric Bingata  explained by Ms. Azuki Shiroma and Chisa Oshiro, with Classical Okinawan Dance by Yukako Majikina, the Second Master of Okinawan Dance School Shin-yo ryu.

photo by Keita Teruya

午前中のプログラムはこれで終了。好天に恵まれ、参加者はTEDxRyukyuの用意したVeganなお弁当(ノアスタイル製)を、遠くの波の音、鳥のさえずりの聞こえるOISTの芝生で思い思いに楽しみました。

It was a sunny day, and the speakers, participants and staff enjoyed their lunch (a vegan lunch box by Noahstyle) on the lawn near the Auditorium.

photo by Keita Teruya

TEDxRyukyu 2013のその他の写真はこちら



TEDxRyukyu 2013開催

TEDxRyukyu 2013が開催されました。規模が前回の3倍となったイベントのマネジメントは大変で、準備中はブログを書く余裕がありませんでした。後追いで過去を振り返りつつ、イベントについて書いて行きます。ただし時間を追って書くことは難しく、期間中のさまざまな出来事についてランダムに書いていきます。


まず今回は、今回のイベントの基本的な事実を書きます。

今回のイベントは2013年11月9日、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の講堂を会場に行われました。ここは500席の会議室で、巨大なフロントスクリーン、同時通訳設備などを備えた場所です。席数・施設設備どれをとってもまるでTEDxをやるために作られたような環境です。OIST様のご協力により、この施設を使わせていただくことになりました。

今回のイベントには「若者を呼びたい」という気持ちがありました。若い人の好奇心を刺激したい。自分の周りには、手を伸ばせばこんなに刺激的な世界が広がっている。そのことを地元と、世界を繋いだ形で若い人たちに提示したい、と考えました。ローカルと世界を繋ぐのは、TEDxの本来的なあり方です。スピーカーは地元に関係の深い人、TEDTalkビデオは世界からのメッセージだからです。
したがって、今回のプログラムは、全体として若い人、その親、先生などを想定したプログラムという色合いが強くなっています。

高校生とその親・先生などに広く声をかけたいと考えて各方面にアプローチしていました。半数近くは高校生でもいいだろうと。
ところが、開催間近になって、沖縄ではこのTEDxの開催日に重なって大規模な模擬試験が行われることがわかりました。(当初は別の日程であったと伝え聞いています。)そのため、高校生の参加は、実際はかなり少なくなりましたが、それでも午後から生徒を連れて参加する親御さんや先生などがいらっしゃいました。

会場の席数は500席ですが、我々は当初300席のイベントとして計画しました。TEDxの目的は、席を全部埋めることではありません。来場者がプレゼンテーションを視聴し、そのあと演者を含めた参加者で、意味のある会話ができる環境を作ることです。そのためにランチを準備し、休憩時間のおやつを提供し、会場を去ることなく、参加者同士がコミュニケーションできるようにする。その視点で主催者がハンドルできる人数を300人と定めました。
実際には、スポンサー様のご協力のおかげで、さらに追加で60人程度のランチやスナックを準備することができ、最終的には360人程度のイベントとなりました。前回は120人の参加者でしたから、規模は3倍に拡大したことになります。

TEDxは、必ずしも大人数でやることを推奨していません。意味のあるコミュニケーションが成立することを最大のポイントにしています。1000人を集めたら、コミュニケーションの核が拡散し、important communicationは生まれないかもしれない。
次回はファシリテーターなどもイベントに呼び込み、さらにコミュニケーションを深められる環境を提供したいと考えています。