TEDxRyukyuのオーガナイザーをしています

オーガナイザーの私自身の記録をblogにしておきます。時系列なので、一番最初が一番下にあります。そちらから読むとわかりやすいでしょう。

2010年2月15日月曜日

TEDActive 2010/2/9-12

今回は荷物を少なくしたかったので一眼レフではなくコンパクトデジカメだけを持っていたので、写真が多くありません。あらためてまとめ直して全体をレポートします。これもロジスティックな部分が主体で、プレゼンの内容は別にします。

私が招待されて行ったのはパームスプリングスのサテライト。
2007年に行ったカシュガルかウルムチを思わせるように砂漠的な場所で、それを灌漑して組織的に開発したらこうなるのかも、というようなイメージの場所です。ロサンゼルスからはこんな飛行機でやってくる。雨は殆ど降らないそうで、年間降水量は130mm。ウルムチが年間50mmと言っていたから、まああれとほとんど変わらない。なのにこの日は雨が降ったのです。驚き。周りの人たちは「運がいい」と言っていました。この写真は雨の直前で、空模様が怪しい頃です。


 登録したその日の晩はアクティブメンバーのパーティで、翻訳者、TEDxオーガナイザーなどがメイン。100人くらいでPresidential Suiteを使って行われました。写っているのは我々が日々使っている翻訳システムdotSUBのCEOスモレンスさん、ベルギーのTEDxオーガナイザーの人、そしてTEDxを統括しているララさん。彼女は12日にロングビーチでTEDxについてプレゼンしていました。



 会場はこんな感じで、貼り物などは全く手作りの雰囲気、アメニティとAVは完全完備、という感じ。真ん中に予約のための普通のシート、その正面にスペシャルシート二つ、周辺はフォームの入ったバブル状の椅子、後ろ側と横周辺に椅子と多数のモニタがあります。話に集中するために、中央部分ではPCの使用は基本的に推奨されない。ネットやPCは後方と周辺の椅子席でやってくれ、というスタンスです。





TED本会議場であるロングビーチから全てが同時中継で送られてきます。さらにこちら独自のイベントもあります。
そのうちの一つはTEDYouで、TEDActiveに集まったそれぞれの人が、自分の物語を語るプログラムです。最大10分までが許されるライブトークで、やり方は、当たり前ですがTEDの方法でプレゼンテーションします。前の晩にリハーサルがあり、ホストのRivesに言われました:「君たちが最高に見栄えがするように何でもするから、何でも言ってくれ。そのかわりちゃんと自分でリハーサルしてスピーチ時間を守れるように。時間切れだとすぐに退場してもらうからね。」アメとムチ。。
TEDTalkを言語的に分析したことを語る人、アニメのアートとしての再発見を語る人、イルカのリングバブルの話、Pecha Kucha Eventの話、紛争解決の話、などなど。私もここでプレゼンしました。写真は「Yes Men」として有名なチームで、論議を抱えるあちこちの世界会議などにどうどうと出席して、皮肉とウィットの効いたプレゼンテーションをして観客を凍りつかせ、インパクトを与えるチームです。「イラク戦争集結」という見出しのニューヨーク・タイムズを偽造して配布したことでも知られています。

TEDYou会場にはTEDキュレーターのクリス・アンダーソンも来ていて、拍手喝采と共に、これからのTEDについて、アクティブメンバーと質疑応答をしました。20分ほどで会場を去り、次のセッションでは本会議場で司会をしていました。



食事は前にも書いた通り、豪勢にどんどん振舞われ、水もジュースもお菓子も、すべてフリーで提供されています。会場の道端にどん、とアイスクリームケースが置かれていたりします。
集まった人たちにアメニティを提供し、とにかくコミュニケーションのための時間を大切にしています。


  もう一つ重要視されているのは、知的好奇心を刺激するものなら、遊びでも何でも提供する、という態度です。夜中までパーティを開いたら、翌朝のセッションはパジャマできてもいい(中継会場の役得)、写真は地元の街ののイベントに合わせてフラッシュモブの計画を立てているチーム。

こちらはイームズチェアで有名なチャールズ+レイ・イームズの孫で、自身がクリエンターであるイームズ・デミトロワ主催の、カイメリア(キメリア:現実に侵食した仮想世界)を舞台にしたスカベンジャーゲーム。数日かけて課題やモノ集めをこなし、特典を競う。商品はiPadなどなど。

John Lennon Educational Tour Busが来ていて、自由に音楽編集をやらせてくれる。

工作しながらゲームをするブース。

ユニークな技術の展示。これはオブジェクトの位置関係を変えながら音楽を作っていくギミック。

Google的な「壁」。今回のテーマ「What the World Needs Now」(今世界に何が必要か)について、大きなカテゴリ分けがされていて、参加者が自由にアイデアをつないでいるボード。

金曜の夜に連れて行かれた夜のパーティ。車で小一時間も走った所の砂漠の場所。例によって食事が振舞われ、音楽が演奏され、何百人かで話す、話す、話す。

ここにも知的あそびは提供されていて、Meadの反射天体望遠鏡が3台、オリオン座の超新星、火星、星団を狙って待っている。NASAかどこかの人なのか、おそろしく天文学に詳しい解説者が何人かいて、説明してくれる。

「砂金掘り」を体験させてくれる。

ライブバンドがいるのはまあ当たり前だが、バンドそのものが実にTED的にイカレている。正面にあるワイヤーのようなものは「楽器」で、ステージから何十メートルも離れた櫓にまで伸びている。途中にコマがつけてあり、それで弦長を調整した弦楽器になっていて、演奏者は手袋をしてこれをこする。すると楽器的な音がする。それにテルミン、ベース、チェロ、エレクトリックシタール、ドラム、フルートといった構成である。

そのフォーマットでクラブミュージックやらなにやらを演奏し、モーリス・ラヴェルの「ボレロ」まで演やって、その時は山でダンサーが踊る。他にも夜中のジープツアーに行く連中もいる。

まあそんなこんなの知的刺激にどっぷり浸かった4日間でした。自分の「世界を見る目」が、また一つ変わった気がします。TEDはまさしく「体験」でした。写真はTEDの配ったトートバッグから出てきたもの。地域や世界規模の災害や問題に介入して解決を目指すゲームが幾つか。ブルンジの女性達が作ったコーヒーウォーマー、映画「HOME」のDVD、ミントキャンディ、GaiaOneというブランドの香水、TEDのポーチ、Purの水ボトル(Purは会場でリフィル用に水も提供している)、Jawboneのイヤフォンマイク、そしてGoogle提供、Nexus One。

私は公式イベントの時以外、会場であるホテルを全く出ることなく過ごしましたが、他の人達も大概はそのようでした。
その会場にはアメニティが大量に提供されている。招待客である私から見ればこれらは全部フリーだが、一般参加者は$3800を支払っている。ロングビーチはたしか$7000強。しかしそれらはすぐに完売し、こちらも完売。実はTED2011が先日発売になり、これもすでに完売しています。しかしまあ、明らかにこれは体験の価値のあるイベントです。

「でも英語なんでしょ?」
そうなのだが、Jay WalkerがどれかのTEDTalkで話していたのだが、世界で一番多く英語をしゃべるのは、中国人だそうです。英語はすでに英国・米国のものではない、世界共通の「問題解決のための言語」になってしまった。その世界では、こういう会話が、アイデアの交換が、問題解決のための行動が行われている。
あれだけの労力を注ぎ込みつつ、日常的なレベルに英語が普及していない日本という国が、少なくとも先進諸国、という枠組みの中で、この様な世界の流れの中で、どれくらいそのようなことについて情報を得にくい、特殊な位置にいるのかは、おそらく理解しておいた方がよいのだろうと思います。
そしてそういう世界に向けて耳をダンボにしておくための、一つの、かなり有効なポータルがTEDであり、翻訳されたTEDTalkなのだろうと思います。そしてまた、自分たちでそのような体験の核を作っていくのが、ローカルなTEDxイベントだと思うのです。そう思ってTEDxRyukyuを企画しています。

そういえば、数日間で数回「くじ引き」があり、いろいろなモノが誰かに当たっていました。 覚えているのは、モールトンの自転車と、それからNASA式の飛行無重力体験ツアーの権利があった。当たりませんでしたが。。

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