TEDxRyukyuのオーガナイザーをしています

オーガナイザーの私自身の記録をblogにしておきます。時系列なので、一番最初が一番下にあります。そちらから読むとわかりやすいでしょう。

2010年2月25日木曜日

TEDTalkの翻訳作業について

TEDxRyukyuは終了しました。各方面からさまざまな感想やご意見をいただいています。どうもありがとうございます。
 「ず」さんがTEDxRyukyu2010の関連したまとめを作ってくださっています

Twtterなどで、上演したTEDTalkの翻訳について、いろいろと意見が出ていたようです。それについて、幾つかコメントしておきます。

現在、約500本あるTEDTalkのうち、約200本に日本語訳がついており、そのうちの80本程は、私が翻訳、あるいはレビューしています。

TEDTalkの翻訳はボランティアが行っていますが、そのスタイルは、誰かが翻訳し、誰かがレビューする、という形になっています。誰でも翻訳者/レビューワーになれますが、最初にTEDに翻訳者として申請するときに、以下のようなことを質問されます。
・日常的に英語を使う環境にいますか?
・あなたの近くに英語ネイティブな人はいますか?
などなど。翻訳に関して特に資格は必要ないが、合理的なレベルで英語を使えること、使っていることを想定しています。

私は、日本語の翻訳者のコミュニティを運営しており、だいたい25人ほどの翻訳者がメンバーになっています。そのメンバー間で、翻訳とレビューを各人が互助的に行なっています。
そのような体制で私自身が約半年で80本ほどの翻訳/レビューを行ったので、そのことを先日開かれたTEDカンファレンスのサテライト、TEDActive (パームスプリングスで開催され、TEDカンファレンスが同時中継で放映され、かつ集まっているメンバーはTEDxイベントの主催者、TEDTalkの翻訳者、TED本体スタッフなど、TEDおよびTEDxに関してアクティブに活動しているメンバーが中心) で、私自身がプレゼンテーションしてきました。

で、私の、TEDTalkの翻訳に関するスタンス、あるいは態度、あるいはしていることについて書きます。

・まずは、誠実に行なっています。可能な限りは疑問点をレビューワーと議論したり、ネットで調べたりして翻訳しています。かつで「and」一つの解釈をめぐって、第二次世界大戦時期の、米国の毎年の軍用航空機の生産台数を調査したことがありました。(私のレビューワーが調査しました。)
・なかなか分からない場合は、最終的に、スピーカー本人にメールして聞いて確認したこともあります。プレゼンのスライドと口述が違っていて、本人にどっちが正しいのか確認したことがあります。
・しかし、それでも完全に分からない場合はままあります。その場合は、95%の出来でもこちらの判断である翻訳をして、公開しています。5%の疑問で公開しないよりも、公開した方が 価値が高いと思うからです。
・翻訳の修正は公開後も、正規の手順を踏めば出来ますので、問題点を感じる方は、指摘くださるとありがたいです。こちらで修正できます。
・字幕という日本語では、「。」や「、」をどう扱うかが決まっていないので、人によってまちまちの翻訳となっています。私は行末の「。」は省略し、行中の「。」は2バイトスペースにしています。「、」は状況に応じていろいろです。

今回、TEDxRyukyuで使ったTEDTalkと私の関わりは、以下のようになっています。
・Bruno Bowden:私はレビューを担当しました。訳したのはブルガリアの方です。
・Jacek Utko:他の方が訳し、レビューなさいました
・James Nachtwey:私が訳しました
・Jill Bolte Taylor:他の方が訳しましたが、上演時に明瞭な間違いを修正しています。しかし句読点などが抜けていたようです
・Nalini Nadkarni:私はレビューを担当しました。翻訳した人の日本語の美しさに感心しました
・Steve Jurvetson:私が訳しました
・Jacqueline Novogratz:他の方が訳しました
・Peter Diamandis:私が訳しました
・Daniel Libeskind:私が訳しました。どんどん言葉が飛んでくるので、難しかった訳の一つでした
・Johnny Lee:私はレビューを担当しました
・Robert Ballard:私が訳しました
・Benjamin Zander:私が訳しました。難しい訳で、レビューワーさんにだいぶ助けてもらいました。

TEDxRyukyuが終わったので、そろそろまた翻訳に戻ろうかと考えているところです。

2010年2月21日日曜日

TEDxRyukyu終了

昨日TEDxRyukyuが無事終了しました。沢山の方々に大変お世話になりました。本当にどうもありがとうございました。

会場では司会とバックヤードをやっていましたので、ほとんど写真がありません。いずれ公式写真と共にご報告します。ここに写っているのは準備段階のシーンです。

2010年2月15日月曜日

TEDActive 2010/2/9-12

今回は荷物を少なくしたかったので一眼レフではなくコンパクトデジカメだけを持っていたので、写真が多くありません。あらためてまとめ直して全体をレポートします。これもロジスティックな部分が主体で、プレゼンの内容は別にします。

私が招待されて行ったのはパームスプリングスのサテライト。
2007年に行ったカシュガルかウルムチを思わせるように砂漠的な場所で、それを灌漑して組織的に開発したらこうなるのかも、というようなイメージの場所です。ロサンゼルスからはこんな飛行機でやってくる。雨は殆ど降らないそうで、年間降水量は130mm。ウルムチが年間50mmと言っていたから、まああれとほとんど変わらない。なのにこの日は雨が降ったのです。驚き。周りの人たちは「運がいい」と言っていました。この写真は雨の直前で、空模様が怪しい頃です。


 登録したその日の晩はアクティブメンバーのパーティで、翻訳者、TEDxオーガナイザーなどがメイン。100人くらいでPresidential Suiteを使って行われました。写っているのは我々が日々使っている翻訳システムdotSUBのCEOスモレンスさん、ベルギーのTEDxオーガナイザーの人、そしてTEDxを統括しているララさん。彼女は12日にロングビーチでTEDxについてプレゼンしていました。



 会場はこんな感じで、貼り物などは全く手作りの雰囲気、アメニティとAVは完全完備、という感じ。真ん中に予約のための普通のシート、その正面にスペシャルシート二つ、周辺はフォームの入ったバブル状の椅子、後ろ側と横周辺に椅子と多数のモニタがあります。話に集中するために、中央部分ではPCの使用は基本的に推奨されない。ネットやPCは後方と周辺の椅子席でやってくれ、というスタンスです。





TED本会議場であるロングビーチから全てが同時中継で送られてきます。さらにこちら独自のイベントもあります。
そのうちの一つはTEDYouで、TEDActiveに集まったそれぞれの人が、自分の物語を語るプログラムです。最大10分までが許されるライブトークで、やり方は、当たり前ですがTEDの方法でプレゼンテーションします。前の晩にリハーサルがあり、ホストのRivesに言われました:「君たちが最高に見栄えがするように何でもするから、何でも言ってくれ。そのかわりちゃんと自分でリハーサルしてスピーチ時間を守れるように。時間切れだとすぐに退場してもらうからね。」アメとムチ。。
TEDTalkを言語的に分析したことを語る人、アニメのアートとしての再発見を語る人、イルカのリングバブルの話、Pecha Kucha Eventの話、紛争解決の話、などなど。私もここでプレゼンしました。写真は「Yes Men」として有名なチームで、論議を抱えるあちこちの世界会議などにどうどうと出席して、皮肉とウィットの効いたプレゼンテーションをして観客を凍りつかせ、インパクトを与えるチームです。「イラク戦争集結」という見出しのニューヨーク・タイムズを偽造して配布したことでも知られています。

TEDYou会場にはTEDキュレーターのクリス・アンダーソンも来ていて、拍手喝采と共に、これからのTEDについて、アクティブメンバーと質疑応答をしました。20分ほどで会場を去り、次のセッションでは本会議場で司会をしていました。



食事は前にも書いた通り、豪勢にどんどん振舞われ、水もジュースもお菓子も、すべてフリーで提供されています。会場の道端にどん、とアイスクリームケースが置かれていたりします。
集まった人たちにアメニティを提供し、とにかくコミュニケーションのための時間を大切にしています。


  もう一つ重要視されているのは、知的好奇心を刺激するものなら、遊びでも何でも提供する、という態度です。夜中までパーティを開いたら、翌朝のセッションはパジャマできてもいい(中継会場の役得)、写真は地元の街ののイベントに合わせてフラッシュモブの計画を立てているチーム。

こちらはイームズチェアで有名なチャールズ+レイ・イームズの孫で、自身がクリエンターであるイームズ・デミトロワ主催の、カイメリア(キメリア:現実に侵食した仮想世界)を舞台にしたスカベンジャーゲーム。数日かけて課題やモノ集めをこなし、特典を競う。商品はiPadなどなど。

John Lennon Educational Tour Busが来ていて、自由に音楽編集をやらせてくれる。

工作しながらゲームをするブース。

ユニークな技術の展示。これはオブジェクトの位置関係を変えながら音楽を作っていくギミック。

Google的な「壁」。今回のテーマ「What the World Needs Now」(今世界に何が必要か)について、大きなカテゴリ分けがされていて、参加者が自由にアイデアをつないでいるボード。

金曜の夜に連れて行かれた夜のパーティ。車で小一時間も走った所の砂漠の場所。例によって食事が振舞われ、音楽が演奏され、何百人かで話す、話す、話す。

ここにも知的あそびは提供されていて、Meadの反射天体望遠鏡が3台、オリオン座の超新星、火星、星団を狙って待っている。NASAかどこかの人なのか、おそろしく天文学に詳しい解説者が何人かいて、説明してくれる。

「砂金掘り」を体験させてくれる。

ライブバンドがいるのはまあ当たり前だが、バンドそのものが実にTED的にイカレている。正面にあるワイヤーのようなものは「楽器」で、ステージから何十メートルも離れた櫓にまで伸びている。途中にコマがつけてあり、それで弦長を調整した弦楽器になっていて、演奏者は手袋をしてこれをこする。すると楽器的な音がする。それにテルミン、ベース、チェロ、エレクトリックシタール、ドラム、フルートといった構成である。

そのフォーマットでクラブミュージックやらなにやらを演奏し、モーリス・ラヴェルの「ボレロ」まで演やって、その時は山でダンサーが踊る。他にも夜中のジープツアーに行く連中もいる。

まあそんなこんなの知的刺激にどっぷり浸かった4日間でした。自分の「世界を見る目」が、また一つ変わった気がします。TEDはまさしく「体験」でした。写真はTEDの配ったトートバッグから出てきたもの。地域や世界規模の災害や問題に介入して解決を目指すゲームが幾つか。ブルンジの女性達が作ったコーヒーウォーマー、映画「HOME」のDVD、ミントキャンディ、GaiaOneというブランドの香水、TEDのポーチ、Purの水ボトル(Purは会場でリフィル用に水も提供している)、Jawboneのイヤフォンマイク、そしてGoogle提供、Nexus One。

私は公式イベントの時以外、会場であるホテルを全く出ることなく過ごしましたが、他の人達も大概はそのようでした。
その会場にはアメニティが大量に提供されている。招待客である私から見ればこれらは全部フリーだが、一般参加者は$3800を支払っている。ロングビーチはたしか$7000強。しかしそれらはすぐに完売し、こちらも完売。実はTED2011が先日発売になり、これもすでに完売しています。しかしまあ、明らかにこれは体験の価値のあるイベントです。

「でも英語なんでしょ?」
そうなのだが、Jay WalkerがどれかのTEDTalkで話していたのだが、世界で一番多く英語をしゃべるのは、中国人だそうです。英語はすでに英国・米国のものではない、世界共通の「問題解決のための言語」になってしまった。その世界では、こういう会話が、アイデアの交換が、問題解決のための行動が行われている。
あれだけの労力を注ぎ込みつつ、日常的なレベルに英語が普及していない日本という国が、少なくとも先進諸国、という枠組みの中で、この様な世界の流れの中で、どれくらいそのようなことについて情報を得にくい、特殊な位置にいるのかは、おそらく理解しておいた方がよいのだろうと思います。
そしてそういう世界に向けて耳をダンボにしておくための、一つの、かなり有効なポータルがTEDであり、翻訳されたTEDTalkなのだろうと思います。そしてまた、自分たちでそのような体験の核を作っていくのが、ローカルなTEDxイベントだと思うのです。そう思ってTEDxRyukyuを企画しています。

そういえば、数日間で数回「くじ引き」があり、いろいろなモノが誰かに当たっていました。 覚えているのは、モールトンの自転車と、それからNASA式の飛行無重力体験ツアーの権利があった。当たりませんでしたが。。

2010年2月11日木曜日

TEDActive前日~Day 1夕方まで

TEDActiveに参加した。LAXからPalm Springsまではこういう飛行機で飛ぶ。








 到着するとすぐに受け付け。コングレスバッグは今年はトートバッグだった。もろもろのお土産が入っている(そちらはのちほど。)


コングレスパスをもらう。










その晩は、アクティブメンバーのパーティ。いつも翻訳でコンタクトしている人や、TEDxのディレクターや、dotSUBの創設者などもろもろと歓談。








一夜明けて当日の会場。この記事はロジスティクスにフォーカスしているので、プレゼンの内容については後ほど。テーマはMindshift, Discovery, Action







初日のお昼はランチバスケットで芝生で食事。









カンファレンスルームを出て歩いていると声をかけられ、6人くらいでまとめられて、ランチバスケットを渡される。食べ物、毛布、皿など。適当に広場に分散して食事。
私のところはスウェーデン人、アメリカ人、ポルトガル人、スペイン人、ブルガリア人、韓国人が仲間でした。




コングレスバッグに入っていた水ボトルのメーカーが水も提供しています。









会場内には他にもケースがあって、飲み物は自由に取ることができます。

こちらは午後のおやつのカリフォルニアロールと、米のせんべい。
外に止まっているジョン・レノン・バス。子どもたちに自由に音楽を作らせているスタジオ。