TEDxRyukyuのオーガナイザーをしています

オーガナイザーの私自身の記録をblogにしておきます。時系列なので、一番最初が一番下にあります。そちらから読むとわかりやすいでしょう。

2010年1月31日日曜日

ライブプレゼンター:古谷千佳子さん

古谷千佳子さん。うみんちゅ(海人)写真家。一見華奢な外見からは想像がつかないくらいの情熱と行動力の持ち主です。表からは見えない異色。とても魅力的です。なにせ自分でうみんちゅ暮らしをし、専用の水中カメラハウジングを作ってうみんちゅを水中で追いかけるんですから。
現場のうみんちゅや家族の人たちの信頼の厚い人。チャーミングな爆弾。

ライブ演奏:アコースティック10行

アコースティック10行、樺里美さん、松元靖さん。お二人は<10行>というバンドのボーカルとキーボードです。こちらはエレクトリックのバンドで、つい先日、久しぶりのライブが行われました。一言でいうと、まずカラオケにはなるまいな、という感じの、複雑で濃厚、ジャズ系が好きならこりゃたまらんだろう、というタイプのジューシーなオリジナル曲を演奏します。
そのボーカルとキーボードだけで、複雑な曲を、アコースティックなフィルターを通して演奏します。リッチでフレキシブルなボーカルと、キース・ジャレットやライル・メイズあたりが見え隠れするキーボード。非常にいいです。

ライブプレゼンター:和田和久さん、屋比久友秀さん

和田和久さん、屋比久友秀さん。和田さんは琉球大学情報工学科の先生、屋比久さんはIT企業、OCCでお仕事をなさっていらっしゃいます。テクノロジーの世界では誰がいいかな?、と探していたら、複数のIT関係者からお二人の名前が挙がりました。それで会いに行き、趣旨を説明の上、プレゼンテーションを引き受けていただきました。どうもありがとうございます。
「TED的なプレゼンテーション」の手法があって、それは普段あまりITの世界の方々がなさらない方式だそうです。お二人とも、今回はあえてそれに挑戦なさっています。

ライブプレゼンター:高良剛さん、橋口幹夫さん

高良剛さん、橋口幹夫さん。オーガナイザー関係者の中から、医療について話を聞きたいという意見が幾つかあったので、医療の現場の方々にプレゼンテーションをお願いしました。高良さんは救急センター、橋口さんは産婦人科が専門です。
どちらも沖縄県立中部病院のドクターです。中部病院は全国でも屈指の救急医療と医師初期研修を行っています。どちらも40年以上の歴史があります。その最前線では何が起きているのかを、ライブな現場を知るドクターに語っていただきます。中でも産科医療の危機が全国的に叫ばれていますが、ここ沖縄ではそれはどんな状況なのか、も語られるでしょう。

ライブプレゼンター:萩野一政さん

萩野一政さん。箆柄暦(ぴらつかごよみ)を出版していらっしゃいます。一見普通のように見えるが、トンでもない仕事を、たんたんとやっていて、お話を伺うとそこには隠れた情熱がある。と、いうのは職人さんの世界でよく見かけることですが、萩野さんにはそういう一面があります。職人技の世界では、一見とるに足らないように見えることが、実は非常に重要だったりしますが、大量のイベント情報を取り扱い、出版可能な情報にするプロセスにも、それに似た要素があるようです。
綿密さ、丁寧さの世界です。

ライブプレゼンター:内田詮三さん

内田詮三さん。沖縄美ら海水族館の館長さんです。沖縄映像センターの玉城さんから紹介をいただき、同道していただいて会いに行きました。お会いしてTEDxのお話をしたところ、賛同いただきプレゼンターを引き受けてくださいました。どうもありがとうございます。
静岡県のご出身だそうですが、お会いした印象は、学究肌かつ江戸っ子かつダンディかつちょい悪おやじ、な雰囲気で、かっこいいんです。
サメが御専門で、お話を聴いているとトンでもない話が次々と。。非常に興味深い世界です。

ご協力:沖縄映像センターさん

沖縄映像センターの玉城社長さんは以前より知己のある方でした。TEDxイベントはTEDの規定で録画することになっています。そこでご協力を得られないかとプレゼンテーションしました。するとこのイベントの趣旨に大変理解を示して下さり、映像記録をお願いすることになりました。どうもありがとうございます。
玉城さんは、Newで一見ではよくわからないようなことにも興味を示して下さり、それを理解する努力を惜しまない方です。そして意を感じたら協力して下さる。熱血でありがたい方です。
美ら海水族館の内田館長さんも、玉城さんからご紹介いただきました。どうもありがとうございました。
スタッフの方々にもいろいろとご協力を頂いています。どうもありがとうございます。

2010年1月30日土曜日

ライブプレゼンター:上地正子さん

上地正子さん。オーガニックカフェ&ギャラリーNOAHを主宰していらっしゃいます。こちらもきっかけはマジカルミステリーツアーposcastだったと思います。自分の決意と思いで今の仕事を始められ、徐々に人の輪を築いていられる。そのライフストーリーがとても興味深いのです。2007年に大規模なロハスイベントを立ち上げられていて、その行動力にも感心しました。「大変ですよ、イベントやるって」と私に向かって言われるその目が、実体験者の微妙な笑いを含んでいて、私は密かにおののいています。なにせ規模が我々の100倍だったんですから。。

ライブプレゼンター:長嶺隆さん

長嶺隆さん。ヤンバルクイナの保護、救助、人工繁殖に取り組んでいられます。オーガナイザーメンバーのDavid Shenさんの紹介。地道でリアルな保護活動と、種を残すことへのビジョンがくっきりとしていられます。非常に面白い動物のエピソードがたくさんあって、退屈しないというか、面白いというか、興味深いというか、学ぶことの多い打ち合わせを行っています。
安田の住民の方々の、生活者としての保護活動というあり方にも彼独自の視点を持っていて、そのあたりからも得るべきものがたくさんあります。
チャーミングでかつショッキングな写真もいろいろあります。

ライブプレゼンター:篠宮龍三さん

篠宮龍三さん。プロフリーダイバー日経BPのweb雑誌で偶然発見。映像が美しいのと、ジャック・マイヨールを超える記録を持っていらっしゃることに驚愕。TEDxTokyoにロッククライミングのワールドチャンピオン、平山ユージ氏が出ていられたので、それでは沖縄ならば海のチャンピオンクラスを、というイメージもありました。もうこれは縁だろうと考え、メールでいきなりお願いをしたところ、引き受けていただくことができました。どうもありがとうございます。
打ち合わせでお会いしたご本人はとても物静かな好青年でした。かっこいいです。
つい先程、NHKのテレビ「ワンダーX」に出ていられました。

ライブプレゼンター:具志堅隆松さん

具志堅隆松さん。ガマフヤーの会。1年くらい前に、田村邦子さんのポッドキャスト番組「マジカルミステリーツアー」にご出演でいらっしゃったのを音で発見。いつかはお話をしてみたいと思っていました。土地開発などに関連してブルドーザーで掘り返されて見つかるような戦時中の御遺骨を、丁寧に回収しては記録し、身元を明らかにしようとなさる、尊いお仕事をなさっています。
その収集の方法、事業化のプランなどに関して、はっきりとしたポリシーを持っていられる。そこのところが興味深い方です。TEDがあらゆる人間活動を対象にするならば、これもまさしく採り上げるべきもの、ということでお願いに上がり、快くお引き受けいただきました。どうもありがとうございます。

ライブプレゼンター:東松照明さん

一方で翻訳作業を進めながら、その間いろいろな人達にTEDxでのプレゼンターをお願いしました。その方々を紹介します。

東松照明さん。写真家でいらっしゃいます。知人を介して知己を得ることができました。ストレートでスタイリッシュな写真を撮られる方ですが、それだけでなく、Photoshopがない頃から、そのようなものを使ってできたようなフォトコラージュなどの実験的な仕事もなさっていらっしゃる。日本写真美術館設立促進委員会の委員でもいらっしゃいます。
沖縄でのお仕事も多く、こちらに滞在なさることもあるので、思い切ってお願いをしてみたところ、快くお引き受けくださいました。どうもありがとうございます。

"We TED Translators" Group

TEDTalkの翻訳は、翻訳者とレビューワーの二人体制ですが、翻訳が終わっているがレビューワーがついていないので完成のステータスに至っていない翻訳を多数見つけました。私はそのようなTEDTalkのレビューを買って出て、変わりにそのTEDTalkの翻訳者に私の翻訳をレビューしてくれるよう、頼みました。互助的関係を作ったのです。

さらに私はGoogleに自分の関係した翻訳者のグループをつくることにしました。

つまり互助的に私が翻訳、相手がレビューしたり、相手が翻訳し、私がレビューしたような関係の人達のグループ。
コンパクトなグループ内で翻訳とレビューの互助関係を各人がやり取りすることで、日本語翻訳全体のスピードが上がったように思われました。

さらに先のperlスクリプトがweb経由で利用可能になり、チームの翻訳者はそれを使ってそれぞれにcsvファイルで翻訳を進めるようになった。それでさらに全体のテンポが増したようです。

それから半年。いまでは日本語の字幕の着いたTEDTalkはほぼ200本になり、そのうち80本は私が翻訳かレビューをしたものになりました。私は期せずして全世界の翻訳メンバーのNo.4の位置にほぼ常駐することになってしまいました。

もちろんこの200本は、私だけの成果でもないし、私のグループに入ってくれた人たちだけの成果でもありません。がしかし、全体としての翻訳の効率の向上にはある程度寄与しているものと考えています。
そして、私のグループで私を助けてくださった他の翻訳者の皆さんに、とても感謝しています。どうもありがとうございます。これからも引き続きよろしくお願いいたします。

翻訳とsrt2csv.pl, csv2srt.pl

TEDの翻訳は二人体制でやります。自分が翻訳しただけではダメで、誰か他の翻訳者がそれをレビューし、訳文に関して二人の合意ができて初めて完成となり、字幕がTEDで公開されます。

英語はとりあえず読み書きにあまり不都合はない、とは言っても、翻訳はこれまでやったことのない分野。全然自信がありませんでした。それで、一番短いのからトライしてみることにしました。
ウィリアムズ・カンカンバというアフリカ・マラウィの少年のストーリー。彼が14歳の頃、学校からドロップアウトしつつも図書館で電気の使い方の本を見つけ、それを読んで自宅の廃材から12ワットの発電能力のある風車を作った話。彼の話を聞きつけたTEDがマラウィの遠い田舎の集落から彼を招いてプレゼンテーションをしてもらった。彼は村にもっと風車を設置して、作物の感慨に使いたいと聴衆に訴えた。
この3分ほどのトークを翻訳し、自信をつけてから長めのものに移っていきました。

以前から友人の琉球大学出身の若者がいて、彼はアメリカホームステイ・ドイツ留学の経験があり、英語はバイリンガル級である。その彼を仲間に引き込み、彼の翻訳を私がレビューし、私の翻訳を彼がレビューすることにして、チームを組んでどんどん翻訳して行きました。

そのうちに彼が翻訳の方法の面倒さを問題にし始めた。それまではメールでテキストをやり取りするか、一文一文がテキストエリアに入ったdotSUBという翻訳システムを使っていたのだが、そこでの作業がやりにくい、と。エクセルのテーブルのようなものに入れてしまえば網羅性があっていい、と。
情報工学科出身の彼はプログラマです。さくっとperlスクリプトを書いてsrt形式という翻訳用の定型書式のファイルをcsvに変換するスクリプトを書きました。それでsrtファイルをcsvに変換し、Google Docに置いて、彼と私で両方から見て、コメントして、編集できるようになった。これで相当に効率が上がりました。翻訳が終わるとまた別のスクリプトを使ってsrtファイルに戻してdotSUBにアップロードするようになりました。

TED Open Translation Project

基本言語を日本語にしたのはいいものの、もう一つ懸念が浮かび上がりました。ビデオプレゼンテーションTEDTalkは英語のままである。これをどうすればいいのか?

TEDxTokyoで、上演された一部のTEDTalkに日本語のような、中国語のようなフォントの字幕がついていました。どうもTEDTalkを字幕付きで提供する方法があるらしい。

その目で見てみると、TEDTalkに日本語字幕がついているものがあるのがわかりました。調べてみると「Open Translation Project」と称する、ボランティアによる各国語への字幕翻訳が行われていることが分かりました。出発点としてTED自体が英語のTranscriptをつけてくれています。つまり書いてある英文を翻訳すれば字幕英語が出来上がる。これらなば日本語字幕つきでTEDTalkを提供できる。これはいい!

と思って、日本語字幕のセクションを見てみましたが、その当時はすこしがっくりしました。というのは、実際に字幕がついているTEDTalkは30本くらいしかなかったからです。これは感動的でぜひ見せたいな、と思うようなTEDTalkにも字幕がついていませんでした。

こりゃあ自分でやるしかない。

ということで、字幕翻訳もやることになりました。

言語の問題

プレゼンテーションのお願いの際に、言語の問題が明らかになりました。当時参加者のタイプのイメージも明確でなく、プレゼンは英語でも日本語でもいいのかも、などと曖昧に考えていました。
しかしヨーロッパ語圏の人にプレゼンテーションをお願いに行きましたが、カンファレンスの言語が日本語だと、自分が質疑やカンバセーションに対応できない、ということでした。ここに至って、初めてカンファレンス言語を明確にしなくては、ということになりました。

実はあまり選択肢はなかったのです。TEDxTokyoは全部英語でしたが、参加者の60%は外国人でした。どちらかというと日本在住の外国人コミュニティの同窓会のような雰囲気さえ感じられました。そういう状況でも平気な参加者でないと、英語でのカンファレンスは難しいだろう。。

私は基本言語を日本語でやることにしました。この当時はまだ英語以外のTEDxをやったケースを知らなかったので(当時はまだ日本語TEDxとなったTEDxSeedsは立ち上がっていなかった)、こういう事をしてもいいのか、と半ば疑問を持ちながらも、これは「広める価値のあるアイデアを広めるためなのだから、言語がローカルになっても構わないだろう」と心に決めました。

プレゼンターを探す

最初のミーティングを持ちました。参加者の中で、実際にTEDxを知る者はは私だけ。そこでTEDxTokyoチームのWillam Saitoさんとスカイプで話をしながら、計画を議論しました。

当初は全く規模の推測ができず、プレゼンターは一人二人で、参加人数も10人くらい。半日くらいで実験的に。うまくできたら来年、といったアイデアもありました。

また、誰にプレゼンターをお願いするかも不明瞭でした。ミーティングで「この人の話を聞きたい」という人を挙げて、個別に打診しに行くことになりました。TEDxそのものを知るのが私だけですので、メンバーの誰が上げた候補へ向けても、私がプレゼンしに行くことになりました。つてを頼ってコンタクトを得て、アポイントメントを取ってから会いに行く。OIST(先端技術大学院大学)、琉球大学、沖縄大学、読谷在のデザイナーの方、ラジオ局、桜坂劇場、美ら海水族館、その他あちこちへ。。

私は全体としてこのように考えました:
・「知的全身マッサージ」である以上、ある程度幅広い領域の、ある程度以上の数のスピーカーのプレゼンを聞くべきだ。それでないと「TED体験」にならないだろう
・ひょっとしたら一日イベントになるかも。。

TEDxは一日で終わるようTEDのガイドラインに決められている。もうあとはスピーカー候補者との交渉の結果で決まるだろう。

結果として、仕事が詰まっていてどうしても不可能という方以外は、お願いしたほとんどのスピーカー候補者がOKをしてくださいました。どうもありがとうございます。イベントの形態と目的がこれまでになくユニークであることに興味を示された方が多いようでした。

オーガナイザーチームの始まり

当時、私が知る限りTEDxイベントは全て英語でした。沖縄でも英語でやるのか? どういう人材が対応可能か?
長年の知人のことが頭に浮かびました。サイオンコミュニケーションズのDavid Shen氏です。たまたまchatに現れた彼に声をかけました。

Masahiro KYUSHIMA: 紹介したURLみましたか?
David Shen: はい、TedXTokyo、行こうと思ったのですがタイミングが合わなくて結局いけませんでした。
Masahiro KYUSHIMA: わたしいきました
David Shen: すげー、うらやますい
Masahiro KYUSHIMA: 強烈
David Shen: まさか沖縄でやりたいとか?
Masahiro KYUSHIMA: で、そういうことです
Masahiro KYUSHIMA: やりましょう
David Shen: やはし。。。
Masahiro KYUSHIMA: 現場の様子を伝えるプレゼンをつくってブロッコデリのこまきさんに見せたら、大乗り気
David Shen: 実はTedxTokyoを東京でやるのにがんばった人を直接しってます。
Masahiro KYUSHIMA: なるほど
Masahiro KYUSHIMA: で、やろうぜ、という話です。

ということで、頼り甲斐のある仲間ができました。オーガナイザーチームが立ち上がりました。

TEDxRyukyu:プランの始まり

私は2007年頃からTEDTalkビデオを見ていました。内容も面白く、かつプレゼンテーションが皆上手で、率直に「すごいなあ」と思っていました。
そのうちにこれを実際に体験してみたくなり、ネットで検索したところ、TEDxTokyoが引っかかったのです。スケジュールを見ると行けそうなので申込みました。申込む際のフォームには「あなたのウェブサイトなど、あなたをより良く理解できるようなURLを書いてください」「あなたは何に情熱があるかを書いてください」という欄もある。一生懸命書いてフォームを送信すると、しばらくして受理された旨のメールが届きました。

当日のお台場、科学未来館。朝食を出すから08:30に来い、と言われ、その時間に入館しました。このときは招待客のみ200名で6割は外国人、4割が日本人、プレゼンは全部英語でした。
一言でいうと、非常に面白く、退屈することなく一日を過ごすことができました。とても印象深い一日でした。その詳細はまた別の機会に。とにかく、面白かった。

その翌週に、那覇で「dotFES 2009 Okinawa」が開かれました。県立博物館のホールで行われたそのイベントの会場をみて、場所の親密でくつろいだ感じが、TEDxTokyoの会場にとても良く似ていると思いました。私は会場のシーンを記念撮影したのですが、なぜか、うちに帰ってから、その会場写真のスクリーンに「TEDxRyukyu」と合成したイメージを作ってみたのです。「こういうことができるといいなあ」と思いながら。

同時にTEDxTokyoの体験をまとめたプレゼンテーションを作りました。これといって発表する場所があるわけではないが、パソコンはいつも持っているし、何かのはずみにこういう面白い「土産話」を、まとまった形で誰かに話せるようにしておくのもいいな、と思ったのです。20枚くらいのスライドでTEDを解説し、TEDxを解説し、TEDxTokyoを解説したプレゼンができあがりました。

ある日、私は「日本ファシリテーション協会沖縄サロン」の運営委員会にいました。ミーティング後の雑談で、そのプレゼンを見せたのです。皆が興味深く聞いてくれました。
その中にブロッコ・デリ・アーキテクツの吉田こまきさんがいました。彼女が言ったのです:「これ、やりましょう」

2010年1月29日金曜日

TEDxとは?

TEDxの「x」は「independently organized TED event」つまり「独自に組織されたTEDイベント」を意味しています。2009年から始まったプログラムで、これまでに世界79カ国以上で開催されています。

どういうものかというと、TEDのビデオプレゼンTEDTalkと、それぞれの各地の実際のライブプレゼンターのプレゼンテーションを組み合わせて、TED型のイベントを行うものです。TEDと同じく「Ideas worth spreading」を旨とし、ライブプレゼンテーションとTEDTalkを使って、幅広い領域のユニークな知を体験し、インスピレーションやコラボレーション創成の場にしよう、という「各地方や組織に特化したTEDのミニ版」といった感じのものです。TEDからのイベントのライセンシーを受けておリ、TEDが細かく定めたガイドラインに従って運営されます。

日本では2009年5月22日に初めてのTEDxとなるTEDxTokyoが開催されました。これは全て英語で行われましたが、その後12月12日に、今度は日本語によるTEDxSeedsが同じく東京で開催されました。
TEDxRyukyuはこれらの日本国内TEDxに次ぐ3番目のイベントとなる予定で、その後も名古屋、大阪などでイベントが計画されています。

すべてのイベントはボランティアによる運営で、各方面の支援や協賛を得ながら、TEDのような親密で、率直で、参加者とプレゼンターを区別しない雰囲気の意見交換の場を作ることを目指しています。
そのために、参加者にもプロフィールを書いていただき、プレゼンターと参加者をマッチングさせる努力も行われています。
私自身もTEDxTokyoに申込む際は、自分が何者かをアピールするプロフィールを書きました。

TEDxRyukyuにも、Websiteの申し込みフォームにそのような欄が予定されています。どうぞ書き込んで申し込んでください。

TEDTalkとは

TEDTalk(TEDトーク)は、各地のTEDイベントで行われた発表者の発表をビデオ収録し、TEDが編集してネット上に提供しているビデオプレゼンテーションのことです。

人間の集中力は最長でも18分しか保てないという理論に基づき、TEDのプレゼンテーションは18分以内と決められています。(もっとも多少は延びて20分くらいになっていることがよくあります。)人によっては3分くらいで1曲だけ歌を歌っていく人もいますし、5分くらい、10分くらいのプレゼンをする人もいます。

驚くべきはそのプレゼンテーションの品質で、全てのプレゼンターが、本当にプレゼンが上手です。プレゼンテーションの手本としてみる価値もあるくらいで、実際「Presentaion Zen」というサイト、および同名の書籍で知られるガー・レイノルズも、TEDを引用しています。また逆に、TEDの方では、TEDでのプレゼンターに対して、Prezentasion Zenサイトや、アル・ゴアの環境問題に関するプレゼンテーションリソースを作り、書籍「Slidology」の著者として知られるナンシー・デュアルテのサイトなどを参考として言及しています。

これまでのTEDTalkは、基本的に全部英語ですが、昨年からボランティアによる字幕翻訳プロジェクトが始まっていて、500本ほどあるTEDTalkのうち、約200本には日本語字幕がついています。私もボランティア翻訳者の一人です

TEDTalkはTED本体のカンファレンスからだけでなく、後で述べるTEDxなどからも採用されています。私が記憶しているところでは、TEDxUSCでの、ジェーン・ポインター (Jane Poynter)のバイオスフィア2での生活体験のトークと、YouTubeなどで評判になった完全な3Dの人間の顔を作ったポール・デベヴェックが採用されています。(それとは別に、ベンジャミン・バトンのCGを行ったエド・ウルブリックのTEDTalkもあります。こちらは本体のTED2009より。)

TEDとは?

TEDとは? 答えは関わり方によって色いろあるのだと思う。TEDTalkの視聴者、TEDカンファレンスの参加者、主催者、TEDxの参加者、主催者などなど。

非常に簡単な、一般的な解説はWikipediaよるものだ。早い話がカンファレンスつまり「会議」だが、要するに「発表会」である。誰が何を発表するのか?
5W1H的に書くとこうなる:
・世界中の、あらゆる人間活動の先駆的な思想家・行動家が
・年に一度
・カリフォルニアの会議場で
・それぞれの活動に関するユニークなストーリーを
・参加者の間で共有し、語り合い、互いに刺激し合い
・新たなインスピレーションやコラボレーションの形成の場とする
というようなことだ。

TEDはそのミッションを「Ideas worth spreading」と定めており、要するに「広める価値のあるアイデア、思想を幅広く世界に広める」ことを活動の目的としている。

現在のTEDのキュレーター、クリス・アンダーソンはTEDカンファレンスを「知的全身マッサージ」と称した。人間は、普段は各自の興味や職業的知識の範囲で知的活動を行っているものだが、その領域をあえて飛び出し、普段は見聞きしないような世界の達人や最先端の人達の話を聞き、互いに語り合い、刺激しあおうということだ。なぜなら全ての知は互いにつながっているのだから。未知の世界からくるものが、あなた自身にあらたなインスピレーションを生み出すかもしれないから。それを一時に皆で語り合えば、さらにインスピレーションやコラボレーションが生まれるかもしれないから。
TEDカンファレンス、そしてTEDxカンファレンスはそういう場を提供します。

TEDの名前はテクノロジー(T)、エンターティメント(E)、デザイン(D)の頭文字をとったもので、ひとまとめにすると人類の未来を形作る三つの大きな分野の頭文字のことだ。TEDの発表者および参加者は、これらの領域を中心として、それにとどまらない幅広い人間活動分野の先駆者たちである。

TEDにおける過去の発表者のうちごく一部を挙げると、以下のような人たちが含まれる。
ビル・クリントン、ビル・ゲイツ、ジェーン・グドール、フランク・ゲーリー、ポール・サイモン、サー・リチャード・ブランソン、フィリップ・スタルク、ボノ、スティーブン・ホーキング、ハービー・ハンコック、などなど

※「年に一度」はTED本体の、本来のカンファレンスのことで、他にTEDGlobalがオックスフォードで、また世界の各都市で不定期に行われることがある。昨年はTEDIndiaが開催された。また現在の体制になる以前の1993年に、神戸でTED4が開催されたことがある。その経緯について松岡正剛氏が書いている

私とTEDの出会い

性格なのか、もう絶対安心、とわかるまでは表へ出さないタイプである。完全主義は物事の進め方としては全くよくないことは知られているが、なかなか変えられない。自分では何一つ完全であったことはないと思っているのに。。

私とTEDの出会いは、おそらく2007年だと思う。Podcastやネットのビデオ映像に興味が出始めていた頃で、ある日どこかでぶち当たったのだ。ジェームズ・ナクトウェイ(James Nachtwey)のTEDPrize Talkで、彼が長年にわたって撮影してきた世界の紛争地域や人間と環境の諸問題などに関する写真のプレゼンテーションだった。

私はものすごく衝撃を受けた。なぜなら、彼が提示したそれらの写真は、戦争や紛争、環境破壊といった人類の抱える深刻な諸問題を真正面から捉えたものであるにもかかわらず、ものすごく美しかったからだ。悲惨さの中に美しさがあるというのではない。悲惨を撮影する彼の審美的感覚が研ぎ澄まされていて、どんな状況でもビジュアルに美しく捉えてしまうのだ。その概念的な悲惨と、視覚的な美のかけ離れた感じに、ものすごく衝撃を受けた。

クリアなHDビデオで提示されたその映像をみて、「ネットで見るべき映像とは、まさしくこういうものだ」と感じた。こういうモノを広めるためにこそ、ネットが価値を持つのだ、と。

それ以来、わたしはずっとTEDTalkを見続けている。TEDのビデオは500本あるが、おそらく私は300本くらいは見ていると思う。

それが今になって、とても役立っている。

もう書いていいだろう

ということで、書くことにしました。昨年から沖縄でTEDxイベントを開催すべく活動しています。

皆様のご協力をよろしくお願いいたします。